慰謝料請求者から住所を聞かれることがある

一般的に不倫の慰謝料請求は書面を通して行われますので、その第一段階として請求内容が記載された書面が届きます。

「不貞行為の慰謝料として金○万円を請求します。本書面到達後○日以内に下記の口座にお振込ください。」というような感じの書面です。

しかし、このような書類が届くということは、慰謝料の請求者は請求する相手の住所を把握している必要がありますが、請求者がそれ知らない場合、請求者から事前にメールや電話、あるいは不倫相手を通して「書類を送りたいので住所を教えてほしい」というような要求が出てくることがあります。

このような要求を受けたらどのように対応すべきなのでしょうか?

教える義務の有無

まず、住所を教える義務があるのかを検討します。

これは難しく考えることなく常識的に考えていただければ良いのですが、住所は個人情報でありますから、例え自身が不倫をしてしまった加害者であったとしても、被害者に住所を教える義務はありません。

よって、住所を教えたくなければ、その要求を拒絶しても法律的には何の問題もないということになります。

教えなければ起こる事態

では、請求者からの「住所を教えて」という要求を拒絶して住所を教えなかった場合、どのような事態が起こるのでしょうか?

慰謝料を請求されずに済むか?

まず、「住所を教えなければ慰謝料の請求をされなくて済む」という甘い考えは通用しないと思われたほうが良いです。

というのも、住所は請求者がその気になりさえすれば、多少費用はかかりますものの、興信所を利用するなどしてある程度簡単に調べることができるからです。

よって、仮に住所を教えなくても調べられて慰謝料を請求されるだけです。

その他の場所に届く

あるいは、不倫の被害者が加害者の住所は知らなくても勤務先を把握しているとか、実家の住所を把握しているのであれば、現住所とは別のそのような場所に慰謝料請求の書類が届く可能性があります。

どちらかというと、職場や実家に届くほうが困るという人も多いのではないでしょうか。

減額や分割のお願いが受け入れてもらいにくくなる

また、ご自身が逆の立場になって考えてみれば分かると思いますが、「住所を教えない=請求から逃げようとしている=不誠実な対応だ!」と取られて、実際に請求を受けた後に減額や分割を求めようとしても、なかなか受け入れてもらえなくなる可能性が高くなります。

自分は「住所を教えて」という請求者のお願いを拒絶しているのに、「慰謝料を減額してください」とか「慰謝料を分割で払わせてください」というようなお願いが通り難くなるのは当たり前の話ですよね。

教えたら起こる事態

逆に、請求者からの「住所を教えて」という要求に対して住所を教えた場合、どのような事態が起こるのでしょうか?

自宅に慰謝料請求の書類が届く

自宅に慰謝料請求の書類が届くことでしょう。

それを送るために住所を聞いてきたのですから、当たり前の話ですよね。

減額や分割のお願いが受け入れてもらいやすくなる

これは上記の「住所を隠そうとする=請求から逃げようとしている」とは逆に、不倫問題解決に向けて誠実な対応をしていると取ってくれて、実際に請求を受けた後に減額や分割を求めた場合に、住所を教えなかった場合に比較すれば受け入れてもらえる可能性が高くなります。

自宅に慰謝料請求の書類が届くと困る場合の対処法

ここまで読んでいただければ請求者からの「住所を教えて」という要求に対しては、素直に応じて教えたほうが良い可能性が高いとお分かりになるでしょうが、それでも住所を教えたくないのには理由があるはずです。

それは、多くの場合、一緒に住んでいる人の存在です。

配偶者、親、子供などですね。

自宅に慰謝料請求の書類が届けば、その一緒に住んでいる人に不倫の事実、あるいは慰謝料を請求されている事実が知られてしまう可能性があるからです。

では、そのような事情がある場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

局留めでお願いする

ひとつは、慰謝料請求の書類を自宅や職場近くの受け取りやすい郵便局留めで送ってもらうようにお願いする方法です。

もちろん、慰謝料請求者にそのお願いを聞く義務はありませんので、拒絶される可能性もゼロではありませんが、当事務所の経験上、なぜ局留めにしてほしいのかについて、きちんとした理由付けができれば、多くの場合はそのお願いを聞き入れてくれました。

その他の場所に届くようお願いする

もうひとつは、慰謝料請求の書類を自宅以外の別の場所に送ってもらうようにお願いする方法です。

例えば、勤務先や実家などが考えられますが、さすがに全く無関係の場所(友人宅など)への送付をお願いするのはおかしい話でしょう。

こちらも上記同様になぜその場所に送ってほしいのかについて、きちんとした理由付けができれば、そのお願いを聞き入れてくれることが多いです。

理由付け

いずれの方法を慰謝料請求者にお願いするにしても、大切なのは上記のようにその理由付けです。

何の理由もなく「○○郵便局留めで送ってください」とか「勤務先に送ってください」とお願いしたところで、そのお願いを聞き入れてくれる可能性は限りなく低いことはお分かりになると思います。

では、「一緒に住んでいる親(あるいは配偶者や子供)に不倫の事実(あるいは慰謝料を請求されている事実)を知られたくないので」というような理由はどうでしょうか?

これでも不十分で、なぜ知られたくないかまで説明すべきなのです。

例えば「体調を崩しがちの高齢の親に心配をかけたくない」とかですね。

ここまできちんとした理由付けができれば、希望する場所へ慰謝料請求書面を送ってもらえる可能性は高いです。

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